2頭が出走取消となり、16頭で争われることとなったホープフルS（GⅠ）。波乱の予兆にも思えたが、しかし、レースは順当な決着で幕を閉じる。2番人気シンエンペラーを差し切って勝利をつかんだのは、牝馬ながら1番人気に推されたレガレイラだ。

押し出されるようにしてハナに立った野路菊S勝ち馬ヴェロキラプトルが、淡々としたペースで隊列を引っ張っていく。好位の外には東京スポーツ杯2歳S4着のショウナンラプンタ、内にはラジオNIKKEI杯京都2歳Sを制したシンエンペラーが続き、中団のインに芙蓉S1着のシリウスコルト、さらには黄菊賞を勝ったセンチュリボンドという位置取りだ。

鞍上のクリストフ・ルメール騎手が「ゲートでチャカついてスタートはあまり良くなかった」と振り返るレガレイラは後方馬群の中。ただし道中では力むことなく「冷静に走ってくれたし、楽にポジションを上げられた」との言葉通り、3コーナーからじわりと進出を開始する。4コーナーの出口では早くも先行勢の直後へと迫る勢いだ。

そして直線。そこまで我慢していたシンエンペラーが一気に先頭を奪って後続を突き放す。懸命に追いすがるのはJBC2歳優駿2着のサンライズジパング。そこへ猛然と迫ったのがレガレイラだった。新馬戦では後の札幌2歳王者セットアップを悠々と下し、前走アイビーSでは3着に敗れたものの鋭い脚を見せつけた。この日もルメール騎手が「大外に出してからはいい反応。最後の瞬発力は凄かった」と感心するラストスパートを披露。瞬く間にサンライズジパングを捉え、シンエンペラーも抜き去っての1着。このレース初となる“牝馬による優勝”を成し遂げたのである。

「2000メートルは乗りやすかった。距離を伸ばしてもいいはず。来年が楽しみ」とルメール騎手。牡馬たちを斬り捨てた豪快な脚に、先々の夢も大きく膨らむ。そんな快勝劇であった。

（谷川　善久）